私は中小企業診断士として、一通りの経営理論を学んできました(薄くですが。。)。皆さんも書籍や、会社の研修なので、経営理論を学ばれたことだと思います。皆さんどうでしょうか。使ってますでしょうか。使えてますでしょうか。そもそも使えますか?使えなく無いですか?と私はずっと思っておりまして。。
そこで、「現場で実践!柔らかい経営理論」と題し、私自身が、学んだ経営理論を柔らかく解きほぐし、現場で実践しているやり方をお届けしていきたいと思います。今回は、皆さん「戦略」という言葉を使われると思いますが、この「戦略」をもっとシンプルに柔らかく捉えて、現場実務で使えるようにしませんか、というご提案をさせて頂きたいと思います。
「戦略」という言葉の定義 ~「難しい定義」と「柔らかい定義」~
皆さんはビジネスシーンにおいて「戦略」という言葉をお使いになりますでしょうか。戦略という言葉の定義を説明しなさいと言われると、ちょっと困るのではないでしょうか。世の中には色々な定義はあると思いますが、戦略論の大家でありますマイケル・ポーターさんの定義は下記のようになっております。
「戦略は、企業が競争優位を築き、持続するための一連の行動計画のことである。戦略は、企業が市場でどのように競争し、競合他社に対して優位を保つかを決定するための枠組みを提供する。」
また、私は一応中小企業診断士なので、、診断士の一次試験の「企業経営理論」という科目において、「戦略」という言葉を学んでいます。診断士の勉強の中での「戦略」の定義は下記のようになっています。
企業が目標を達成するための方針や取るべき行動の計画を指します。具体的には、外部環境や内部資源を分析し、競争優位を確立するための手段を考えることが含まれます。
この定義は分かりやすいですね。実務で活かせそうな定義だと思います。 もっと噛み砕いた、分かりやすくて、実務で活かせそうな定義は無いでしょうか。
私は「戦略」という言葉をこれぐらいで捉えています
皆さんは、酒井穣さんの有名な著書「あたらしい戦略の教科書」という本をご存じでしょうか。「戦略」というと、どうしても経営幹部や、本社の経営戦略部門向けの書籍が多い中、この本は私達のような、現場の実務担当者向けに書かれた「戦略書」ともいえる経営書であります。この本の中で、「戦略」は下記の定義で述べられております。
「戦略とは、旅行の計画である。現在地と目的地を結ぶルートに例えることができる」
酒井穣さんの書籍で、「はじめての課長の教科書」という、長らく愛されている実務担当者向けの経営書を書かれておりまして、これもおすすめであります。
「戦略とは旅行の計画である」。相当柔らかく噛み砕かれた定義だと思いますが、目標があって、それを目指す道のりだ、ということで十分だと思っています。極めてシンプルなのですが、実は私達のビジネスシーンにおいては、「戦略」という言葉をあまりにも小難しく考えてしまってしまい、「目標と道のりのワンセット」というシンプルな内容も、ちゃんと考えられていない、ということが往々にあるなと感じています。下記のような事例はありませんでしょうか。。
困った事例1:それって戦略じゃないだろう!戦術だろう!
私の経験談になりますが、ある新規事業を立ち上げようと進めていましたが、顧客開拓がうまくいかず、大変苦戦をしていました。こういう時って、プロジェクトリーダーが「改めて戦略を練り直す!」と言いがちだと思います。。この時に、あるメンバーが施策っぽいことを言って、「それは戦略ではない!戦術である!」と言われたり。。また戦略というのは「目指す方向性」であるとの考えのもと、ここでも施策ベースの話が中心になってしまい、「手段が目的になってしまっている!」と言われたり。。
この時は、「戦略」という言葉を難しく考えすぎて、メンバー間でも共通の定義を持てずに、議論が空中戦になり、全然具体的な内容に落ちず、不必要に時間が経ってしまいました。これは本当に苦痛でした。。
こんな時に、戦略とは「旅行の計画」であり、「目的地(=目標)とそこに向けた道のり(=施策)のセット」である、ということが共有できたら、もう少し建設的な議論ができたなと思います。。
困った事例2:戦略がミルフィーユ状態
皆さんは、会社や事業の中期計画の作成に関わられたことがありますでしょうか。私は中期計画作成には良く関わりますが、ある会社さんの中期計画での話ですが、
・来年度の方針は「グローバルでの社会課題解決への貢献」である!
・方針実現に向けた戦略は「社会のニーズ・課題を先取りした新事業創出による成長」である!
・戦略基軸は「顧客第一主義の実勢」「競争優位性の確立」「アライアンスの推進」の3つである!
・具体的な方向性は「人財育成」、「新製品開発」、「コスト競争力強化」、「品質管理体制強化」の4つである!
という感じで、もう戦略がミルフィーユ状態で幾重にも重なってしまっており、私はあまりご縁が無い「高級おせち」のごとく、4段重となってしまってました。。戦略に溺れてしまっている状況だと思います。。またこれを社長が方針説明と称し、雄弁と語られるのですが、実務担当者が中心の参加者は、もうなんのことか理解不能な状況となってしまっていました。。
この場合でも、戦略とは「旅行の計画」であり、「目的地(=目標)とそこに向けた道のり(=施策)のセット」である、ということが共有できたら、戦略は「目標」と「具体的施策」の2段重での整理が可能で、シンプルで皆さんに分かりやすい「戦略」となったと思います。。。
最後に:「戦略」を柔らかく捉えて、使いこなしましょう
このブログで経営理論を語るにあたっては、「経営理論を柔らかく考えて、現場実務で使いこなす」が大前提になっています。「戦略」という言葉は、本当に使い方が難しく、使い方を間違えると、路頭に迷い、不必要に時間ばかりが経ってしまします。
ですので、是非「戦略とは旅行の計画書」「目的地とそこまでの道のりのセット」と柔らかく捉えて頂き、この考え方で「確実に戦略を使いこなす」ことを、是非目指して頂きたいと思います。
このブログでは何度か書いているのですが、あなたが参加している会議で、先ほど挙げた「困った事例」のような状況になってしまいましたら、是非あなたは席を立ちあがり、会議室の済に置かれているホワイトボードを持ってきてください。そして、ホワイトボードに下記のようは絵を描いて頂き、「戦略」をシンプルに整理し、纏めて頂きたいと思います!
間違いなく、参加者は「あいつは頭が整理されている」と、一目置かれることだと思います!
今回もお読み頂き、有難うございました。もし気に入って頂けましたら、是非SNSでのシェアを宜しくお願いします!
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