私は中小企業診断士として、一通りの経営理論を学んできました(薄くですが。。)。皆さんも書籍や、会社の研修などで、経営理論を学ばれたことがあると思います。皆さんどうでしょうか。使ってますでしょうか。使えてますでしょうか。そもそも使えますか?使えなく無いですか?と私はずっと思っておりまして。。
そこで、「現場で実践!柔らかい経営理論」と題し、私自身が学んだ経営理論を柔らかく解きほぐし、現場で実践しているやり方をお届けしていきたいと思います。今回は、皆さんもよく遭遇する「報告書」について、私なりの書き方をご紹介し、現場実務で使って頂きたい!というご提案をさせて頂きます。テーマは「A4一枚」。長い報告書が悪いわけではありませんが、最も読まれ、最も意思決定に効くのは、やはり「A4一枚」です。
「報告書」は経営コミュニケーションの集大成
報告書には、主旨の明確化、事実の整理、数字の影響、打ち手の設計、体制と責任、進捗の示し方、といった大事な要素がギュッと詰まっています。ひとつひとつの理論を深く学ぶより、「A4一枚で端的に伝える力」を磨くほうが、現場ではよく効きます。タイパ・コスパがとても良い、と私は思っています。結局、経営は「限られた時間で正しく判断する」こと。報告書がその判断を助ける道具である以上、読まれる形に整えることが第一だと思います。
報告書はワンパターンでOK、誰でも書けます
毎回ゼロから悩む必要はありません。大枠の型はワンパターンで十分です。自分なりの型を決めて、何度も使い、実務で得た気づきを足していくと、どんどん強くなります。私はこの「キラーパターン」をおすすめしています。冒頭に結論を置き、事実を時系列で短く示し、影響を数字で見せ、挽回策を三つで整理し、責任者と期日を添え、進捗の出し方(どの会議で、いつ、何を)まで書き切る。これだけで、読み手は迷いません。毎回同じ順番で書くことが、実は一番の近道です。
PowerPointに行かず、A4一枚でまとめるのがおすすめ
私の周りでも、簡単なお報告でも「パワーポイント」を使う人が結構居られますが、やはり簡単な報告であれば、A4一枚で行きたいですね。PowerPointは、報告の場面では「紙芝居的」になりがちです。ページをめくるたびに話が分断され、前に戻るのも手間。A4一枚なら、全体を俯瞰しながら話ができます。結論が早く届き、議論が本質に寄ります。印刷して配布すれば、机の上で全員が同じ絵を見ながら話せます。オンラインでも、全体→要点→全体とズームして見せれば十分対応可能です。
A4一枚の型をお示しします。
話をしているだけでは判らないと思いますので、仮想のシチュエーションで一枚作成してみました。最近色々なサイバー攻撃問題が起こっておりますが、、おとど社の顧客がサイバー攻撃に会い、自社の生産・販売が混乱する中で、おとど社への資材発注量が減少し、おとど社の売上・営業利益にマイナスの影響を与える、というシチュエーションで書いています。

最初に「本報告の主旨」を数行で言い切ります。何を報告し、何を了承・判断してほしいのか。ここがぼんやりしていると、読み手は最後まで迷います。次に「原因と状況の要約」。いつ、何が起き、今どうなっているかを事実だけで短く。時系列で三行に収めるつもりで書くと、無駄が減ります。
三つ目は「自社への影響」を数字で書いています。売上と利益について、対計画と対前年の二軸だけに絞り、単位を揃えます。表は一つで十分です。四つ目は「挽回策」。打ち手は重要なもので三つ程度に絞り、施策名、責任者、見込金額(売上・利益)をセットで示します。
最後に結びで、定期的に報告することを明示しながら報告の相手の安心感も醸成しつつ、計画達成への強い思いも表現し、承認を得つつ、すぐに踏み出せる締めにしています。
ポイントを押さえて報告は、報告を聞く側にも「やさしい」ので、報告がスムーズに進みます。私は経営幹部にもこの形で報告することが多いですので、報告時間は30分以内に終わります。これは忙しい幹部には好評ですし、何といっても自分の時間が短縮されるのが有難いです。。
一回書いた報告書は、是非使いまわしてください!色々なシチュエーションがあると思いますが、基本は「主旨→現状分析→対応策・目標→スケジュール」になると思います。これを同じパターンで数多くこなしていくと、習熟度・経験値が増し、レベル・作成スピードも増していきます。報告のたびに、新しいフォームで報告する必要は全くありません。正々堂々と使いまわしていくことをお勧めします!
A4で書くコツ ~実はPower Pointで書いています~
前段で「Power Pointを使わない方がいい」とお話しましたが、ここで皆さんの謝罪しないといけません。。私はA4一枚タテの報告資料を、Wordではなく、ほとんどPowerPointで作成しています。。
PowerPointの良いところは、とにかくレイアウトが自由であることです。今回のサンプルでは数表を入れていますが、これもどこに入れるのも自由です。写真や図を入れることもあると思いますが、自分の思い通りで行けます。Wordは、慣れた人であれば自由自在だと思うのですが、そこまで使いこなせない人には、結構ストレスが溜まります。私は先輩の真似そして、A4一枚もPowerPointで作るようになり、かなりストレスが軽減されました。A4一枚はPowerPointで作る、これをお勧めしたいと思います!
少し資料の書き方に触れておきます。見出し部分はゴシックで、本文は明朝で書いています。本文中でポイントとなるところは「ゴシック+アンダーライン」にして強調するのがお勧めです。ポイントを赤字などに変えるのも良いですが、全体的に派手派手しくなることもありますので、黒字の中でゴシック・明朝の使い分けがお勧めです!
オンライン時代のひと工夫 ~是非事前配布を!~
事前配布が最強です。メールでもOKです。印刷して読む人、画面で拡大して追う人、それぞれが準備できます。画面共有では、A4全体を見せて地図を共有し、要点にズームし、最後に全体へ戻る流れにすると、迷子が出ません。過去の一枚を並べるだけで推移が見えるのも、A4一枚の良さです。月次の報告なら、同じ型で積み重ねることで、変化が自然と見えてきます。
最後に ~報告書は誰でも書ける!A4一枚で報告を得意技に!~
A4一枚は、読む人にやさしく、作る人にもやさしい形です。型を決め、毎回同じ順番で埋める。それだけで報告の質は安定し、意思決定のスピードが上がります。現場の事実、影響、打ち手、責任、進捗の道筋を一枚に乗せる。ぜひ、明日から試してみてください!下記に、同じ「A4一枚」で書かれた記事で、私が良いなと思ったものを、参考に挙げさせて頂きます。
偉い人の目線で、要点を「A4一枚」に「読み手としての上司」を意識する 上司が唸る報告書の書き方
今回もお読み頂き、有難うございました。もし気に入って頂けましたら、ぜひSNSでのシェアを宜しくお願いします。実務での工夫や「この型をもっとこうしたい」という改善案があれば、ぜひ教えてください。現場で使える「柔らかい経営理論」を、皆さんと一緒に育てていけたら嬉しいです。

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