前回から、フツーの人が「合格点」を取るための資料作りと題して、私の約30年のビジネス経験で体得した、資料作りのメソッドをお伝えしております。今回は第2回で、プレゼンや報告の時の「資料」と「語り」の関係性について、考えてみたいと思います。
私の資料作りの基本的な考え方は下記になりますので、お時間ありましたら、ご覧頂ければと思います。
ポイント①:いきなり資料を作らない ~何はともあれまず骨子~は下記になります。
私達はスーパーマンではない
まずプレゼンのシーンで話を始めたいと思います。ビジネス界では、プレゼンの名人と言えば、スティーブ・ジョブズさんや、孫正義さんを思い出されるのではないでしょうか。ご両名のプレゼンの本も出ていますよね。スティーブ・ジョブズさんのプレゼンと言えば、下記のようなイメージかと思います。
シンプルな資料で、ロックスターのような語りで、聴衆を魅了します。
孫正義さんのプレゼンと言えば、下記のようなイメージかと思います。
こちらも、シンプルな資料で、重要な部分は「語り」でお話をされます。非常に「語り」が卓越していますので、聴衆は引き込まれて、孫さんが伝えたいことは、十分入ってきます。
ビジネス界では、こういうプレゼンスタイルをお勧めする本やWebサイトも多いのですが、フツーの私達がこれをやって、本当に大丈夫ですか?というのが、私の問いなんですね。
スティーブ・ジョブズさんは、プレゼンされる際、超優秀な側近を使って入念な準備をされ、ご本人も「語り」を3か月かけて練習されたとも聞きます。プレゼンの名手が、これだけの労力をかけて初めて成立するプレゼンなんですよね。。私たちフツーのビジネスパーソンが、これを真似して、大丈夫でしょうか。。。
資料と語りは一致させましょう
私は、基本的には、「資料」と「語り」を一致させることにしています。一例ですが、私は、パワーポイント資料では、下記のような作り方を基本としています。
これは、昔作成した「キーエンスのコンサルティング営業」の資料ですが、まずタイトルがあり、その下に2行ほどで「語ること」を書いてしまいます。で、実際のプレゼンのときは、このタイトルを2行の文章をそのまま読みます。私たちフツーのビジネスパーソンはこれでいいんだ、と私は考えています。パワポだけてなくて、一般的なA4タテの報告文書でも同じだと思っています。
こうやり方をすると、「それだったら、資料を渡して終わりでいいじゃないか」という反論を頂くことがあります。プレゼン・報告というのは、聞き手からするとほぼ「初見」なんですよね。ですので、初見の方にご理解頂くために、「視覚=資料」と「聴覚=語り」の両方でご説明することで、より深くご理解頂ける、ということだと思っています。
中には、資料に言いたいことを書かず、アドリブで語りをされる方がおられます。これが一番良くないなと思っていまして、初見の聞き手は相当混乱してしまいます。改めて申し上げるのですが、スティーブ・ジョブスさんのプレゼンは、アドリブではないですから!
中には「資料と語りが同じなのは絶対いや」という方も居られます。その方には、「今日の日経新聞に載っていましたが」とか、「先週の週刊東洋経済に載っていましたが」など、直近の新聞・雑誌・ニュースの話を少し入れてみては如何でしょうか。私もこのレベルの「ちょい足し」はやりますが、基本は、勇気をもって、資料をそのまま読みます!
この方法だと、いいこともたくさんあります
資料と語りを一致させることで、多くの「良いこと」があると思います。この方法で報告などに行きますと、理解が得られ易いので、1時間の予定報告が10分程度で終わることがあります。これで浮いた時間で、おいしいコーヒーでもゆっくり飲んだりしたことも!
プレゼンをするときに「読み原稿」を用意することがあると思いますが、この方法ですと、資料作成時に読み原稿を作っているのと同じですので、トータルでの準備時間は削減できると思います。
また、報告・プレゼンに当日参加できなかった方がどうしても出てしまいますが、読んで頂ければ内容がわかりますので、直接お話するよりは弱いのですが、容易に内容をご理解頂くことが可能だと思います。
重要なのは「いかに相手の立場になって考えられるか」
今回は「資料」と「語り」をテーマにしていますが、この根底にあるのは何かというと、「いかに相手の立場に立って考えられるか」ということなんですね。聞いて頂く相手に、どうすれば理解して頂けるかを考えると、やっぱり資料に書いていないことをしゃべりまくるというのが無くて、それはやはり自己満足の世界なんだと思います。
また、プレゼンにおいて、資料を事前に配ると、聴衆が聞いてくれないので、資料は配らないということをおっしゃる方も居られます。私たちフツーのビジネスパーソンはこれはやるべきではないと思います。やはりちゃんと事前に配りたいですね。皆さんお忙しいので、一言一句読んでおられる方は少なくて、ざっと目を通すレベルだと思います。ですので、私のこれまでの経験では、事前にお配りしても。資料のまま読んだだけ、という話しにはなりませんし、ご関心持って頂ければ、更に突っ込んだご質問を頂けます。もしプレゼンの最中につまらない顔をされていたら、それは「資料を読んでいるだけだから」ではなく、「内容に課題がある」と考えるべきでしょう。
この「相手の立場になって考えられる力」は、あらゆるビジネスシーンにおいて非常に重要で、この力があれば、あらゆるビジネスシーンで「良いこと」に出会えると思います。プレゼン・報告では、この力が最大限に活きるシーンの一つと言えるでしょう!
安心して、資料と語りを一致させて下さい
私は「資料と語りを一致させる」ことをもう20年ぐらい貫き通していますが、これまで「資料と語りが一緒じゃないか!」と怒られたことは一回もありません。むしろ、「おとどの説明は分かりやすい」「おとどはプレゼンはうまい」と結構言われます。皆さん。是非この「資料と語りと一致させる」ことを取り入れて頂き、自分の企画をスムーズ通したり、報告を簡便に済ませたり、昇格試験で好成績を収めたりと、より良いビジネスライフを送って頂きたいと思います!
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