私もサラリーマンとしてとある企業に勤めておりますが、サラリーマンには「役職定年」がやってきます。「役職定年を超えて生き残る」ことを目指すこともありますが、豊かな経験を積み重ね、優れた経験を持つ方は、例え「役職定年」になったとしても、その後会社で重宝がられ、豊かなサラリーマン生活を謳歌されています。また独立して、継続輝き続ける方も多くいらっしゃいます。私がそんな先輩方に学ばせて頂きながら、自分でも実践しているメソッドを「サバイバル仕事術」と題し、実例を交えながらお届けしたいと思います。今回は「想定外を想定する」と題し、私が新規事業など新しいプロジェクトを始めた時に、避けることができない「想定外」について、私が今も意識している考え方・心構えについて、お届けしたいと思います。
「想定外が無く、順調に進行」って、そんなことありますか?
皆さんどうですか。新しいプロジェクトを色々と手がけられると思いますが、何の問題もなく、順調に進むってことありますか?無いですよね。何か課題問題が発生する確率って、100%だというのが、私の感覚であります。世の中に「100%発生する」ことって、あまり無いように思いますが、「新しいことを始めたら、何か想定外なことが発生する」ということは、間違いなく100%であると、言い切れるでしょう。
そうではあるんですが、この想定外のことって、未解決に終わるということ、ありますか?私の感覚でいくと、結構何とかなっている、という感覚であります。「新規事業が失敗に終わった」という話は数多くありますが、それは色々な要因があるので、それはちょっと置いておいて、新規事業を推進する中で起こる「想定外」というのは、何とか克服できた、ということも結構多いのでは、と私は思っています。
つまり、何か新しいことを始めるときに、初めから「想定外が起こることを想定しておく」という考え方ができれば、新規プロジェクト遂行時のストレスを大幅に軽減できるのでは、私はこれを常に意識しており、概ね良い方向に持っていけているな、と思っています。
私が考える「3,3,3の定理」
この「想定外を想定する」ですが、私の30年のビジネス経験を踏まえると、もう少し具体的なことをいつも考えていまして、それを勝手に「3,3,3の定理」と呼んでいます(笑)。新しいプロジェクトを始めた時には、
●まず3週間は想定外が起こると想定しておく。3週間経つと、少し落ち着く。 ●少し落ち着くが、3か月は想定外が起こると想定しておく。3か月経つと、少し落ち着く。 ●結構落ち着くが、3年は想定外が起こると想定しておく。3年経つと、少し落ち着く。 ●4年目以降は、離陸し、安定軌道に乗せることができる。
これが私の「3,3,3の定理」になります。私の感覚では、この「3週間・3か月・3年」というのは、結構な確率で当てはまると思います。最初の3週間がかなりばたばた発生し、次の3か月は少し落ち着くも、やはり何か起こる、そして次の3年は結構落ち着きますが、何も起こらないということはやはり無いので、4年目に入るまでは、油断をせずに、何かが起こると想定し続けておく、ということが重要だと思いますし、この想定ができると、新規プロジェクト遂行時にストレスを大幅に低減できると思います。

ここで気を付けないといけないことがあります。世の中に「鈍感力」という言葉があるのを皆さんもご存じだと思うのですが、この「3,3,3の定理」では、「鈍感になる」ということではない、ということは付け加えておきたいと思います。想定外が起こるんだと想定しているので、むしろ想定外への感度は下げずに、むしろ上げないといけなくて、速やかに想定外に対処していく、ということが重要だと思います。「鈍感力」とは一線を画す考え方ですよ、ということは強調しておきたいと思います。
私の実例:ある会社を買収したとき
私の経験の中で、一番「3,3,3,の定理(想定外を想定する)」を痛感したのは、ある会社をM&Aで買収するプロジェクトに参画したときでした。買収前というのは、買収価格交渉、各種契約、買収後の体制整備など、色々と準備をしてきて、徹夜もあったりするのですが、まあまず買収発表後の3週間は、それこそもうバタバタです。。お母さんを赤ちゃんを出産するときに、出産前も体調が目まぐるしく変わったりと大変なのですが、、赤ちゃんが生まれた瞬間から子育てが始まり、ばたばたがスタートする、それと似た感覚でしたね。。何度か買収案件に関わってきていますが、ほぼ間違いなく「3週間はカオス」状態だと思います。。
で、3週間が経ち、4週間目には入ると、少し霧が晴れたような感覚になるんですね。「おっ、安定軌道に入ったかな」と思いがちですが、これが大間違いで。。M&Aの場合は、基本は契約があり、その契約に則って動くことが原則にはなるのですが、最終契約を締結する際に、どうしても買収先と合意に至らず、「別途協議」ぐらいで玉虫色の決着で先に進むことがあったりします。またこれが運悪く、玉虫色にしていたところが3か月の間に表出してくるんですね。。3か月の間は、想定外が発生する頻度は少なくなるものの、全くもって油断ならない・油断してはいけない3か月、だと私は思っています。。
で、嵐の3か月が終わり、4か月目に入ると、それはもう本当に雨が止んだような感覚になるんですね。ついに私たちは安住の地を手に入れたと。。。ですが、世の中甘くないんですね。。3年間は、とにかく色んなことが起こります。。私がこれは参ったなと思ったのは、メインの得意先の経営破綻が起こり、結構な規模の売上・利益を失ったことですね。。3年間では、自分たちではどうしようもない、外部環境の変化による「想定外」が起こった、という苦い思い出です。。当時はまだ「3,3,3の定理」という、悟りを開いたような境地には居ませんでしたので、、結構ストレスを感じながら仕事をしていたことを鮮明に覚えております。。で結局この買収プロジェクトはどうなったかというと、4年目以降は比較的安定軌道に乗り、今ではかなりの高収益事業に成長することができています。
想定外は、結構解決するんですね。。
この時に、「3,3,3の定理」を知り、「想定外を想定する」ことが出来ていたら、もっとストレスを軽減し、荒波にもう少し乗れたのではないか、と今では思います。。
「3,3,3の定理」の思わぬ効果
皆さんも是非「3,3,3の定理」を体現して頂きたいと思いますが、思わぬ効果もありまして、私が考える3つの効果をお話したいと思います。
まず言えるのは、①リスク管理能力があると「思われる」、これがあると思います。「思われる」というところがミソでして、「3,3,3の定理」って、「想定外が起こるよね」と思っているだけなんですね。リスクを細かく想定して、何か対策を打っているわけではない。ただ「想定外を想定」しているだけなのに、なぜか「リスク管理能力がある」と思ってもらえます。。少々ずるいかもですが、結構お得です。
次の私が思うのは、②短期的思考と長期的思考があると「思われる」、これもあると思います。しつこくて恐縮なのですが、ただ「3週間、3か月、3年は想定外があるよね」と思っているだけなんですね。短期とか、長期とか、そこまで意識して見通せているわけではないんですね、むしろ「想定外なんで見通せないよね」という立ち位置なわけです。なのに、、なぜか「短期的思考と長期的思考の両方で見れている」と思われるんですね。ずるいですね(笑)。正直、お得感があります。
そして最後ですが、これがお得中のお得なのですが、③胆力があると「思われる」んですね。何度も何度もしつこくて申し訳ないのですが、「想定外が起こるよね」と思っているだけなんです。何が起こるかを想定していないんですね。見通す気もないというか(笑)なのに、上司から「あいつは胆力があるな」とか言われるんですね。部下からも「〇〇先輩は危機に動じなくて、頼りがいがある」と思われるんですね。相当ずるいですね(笑)。
これは本当にお得だと思います(笑)
「想定外があることを想定している」だけなのに、こんなにお得なことがある、ということを、是非皆さんに知って頂きたいと思います。
最後に ~とは言え、4年目での離陸を目指すことが重要~
ここまで「想定外を想定する」ことがいかに自分にとってもストレス軽減になるし、また周りからの見方にもプラスに寄与していくか、をお話してきました。これはもう口癖にしていくといいと思います。「3週間は想定外が起こるよねー、やっぱり起こった」「3か月はばたばたで想定外が起こるもんでしょ」「3年間は想定外が起こるもんだよ、そんなにくよくよするなよ。お前が悪いわけではない。これは世の定説・定理なのよ。」などなど。。
ではあるのですが、「なんだけど、4年目からは離陸して、安定飛行にもっていくことを目指そうね」という気持ちは持って頂くといいかなと思います。私の30年のビジネス経験では、止まない雨は無かったと思いますし、3週間、3か月、3年での「想定外」は、それら全て未来につながる経験であったと思いますし、何といっても自分の「引き出しが増えた」というのは、間違いなく言えると思います。
是非皆さんも「3,3,3の定理」を知り、そのような心持しで新しいことにチャレンジして頂き、周りの評価を獲得しながら、サバイバルしていきましょう!
今回もお読み頂き、有難うございました。もし気に入って頂けましたら、是非SNSでのシェアを宜しくお願いします!
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