【実例あり】現場で実践!柔らかい経営理論 ~新規事業は「スモールスタート」で~

柔らかい経営理論

私は中小企業診断士として、一通りの経営理論を学んできました(薄くですが。。)。皆さんも書籍や、会社の研修なので、経営理論を学ばれたことだと思います。皆さんどうでしょうか。使ってますでしょうか。使えてますでしょうか。そもそも使えますか?使えなく無いですか?と私はずっと思っておりまして。。

そこで、「現場で実践!柔らかい経営理論」と題し、私自身が、学んだ経営理論を柔らかく解きほぐし、現場で実践しているやり方をお届けしています。今回は、今回のテーマは「新規事業はスモールスタートしかありえない」。小さく始め、大きく育てる——耳慣れた言葉ではありますが、現場で実践するとなると意外に難しいものです。そこで以下の4つの軸に沿って、私の経験を交えながら具体的にご提案したいと思います。

新規事業にまつわる「すれ違い」

まずは新規事業を提案する側の気持ちに目を向けてみたいと思います。新しいアイデアを思いつき、資料を作り込み、上司にぶつける。ところが「前例がない」「裏付けが弱い」と言われ、稟議は停滞し、やがてモチベーションが下がってしまう——そんな光景を何度も見てきました。

一方、上司や経営陣など、決裁する側にも言い分があると思いますね。「成功する確率が読めないものに大きな資金を投じるのはリスクが大きい」と感じるのは当然です。立場こそ違え、「踏み出したい気持ち」と「慎重にならざるを得ない気持ち」がせめぎ合い、両者ともに何とも言えない「すれ違い」を抱えてしまうのです。これを突き詰めて考えると、その正体は「スタート時点でいくらお金が掛かるのか」という一点に集約されることが多いのでは、と私は感じています。

双方の「すれ違い」を超えるための「スモールスタート」

私はこれまで少なからず「新規事業」に関わってきましたが、この壁を越える現実的な解が、初期投資をなるべく小さく抑える、いわゆる「スモールスタート」だと思っているんですね。

私の感覚値では「10百万円(1,000万円)」がひとつの分水嶺になるかと。多くの企業にとって1千万円を境に稟議ルートが厳格化し、会議体も一段階上がるため、審査に時間がかかりがちです。逆に言えば、この金額に収まる企画は「まず試してみよう」という前向きな選択肢を取りやすい。どうしても1,000万円を超える場合でも、「50百万円(5,000万円)」を超えない範囲で設計できるかが次の勝負どころです。ここを超えると審査レベルが更に厳格になり、一気にハードルが上がってしまいます。。

では、実際にコストを抑えるには何をすべきか。新規事業のスタート時で必要なお金は、主にプロトタイプを作成する費用では、と思っていますが、答えは「プロトタイプ段階では自社で重い資産を持たない」ことに尽きると思っています。プロトタイプ試作は、できるだけ自前で。手作りもありでしょう。どうしても自前では無理な場合。試作用の装置はレンタルで済ませ、設計やデザインは副業人材や専門会社へ業務委託し、オフィスが必要な場合は、フリーアドレス型のコワーキングを活用する。荒削りでも動くモノを作り、ターゲット顧客に早く当てる。そのフィードバックを基にブラッシュアップを重ねる——これがリスクとコストを同時に最小化する最短ルートだと考えています。

新規事業は「熱意」をアピールしてはいけない

新規事業の社内プレゼンでしばしば目にするのが「私はこれをやりたいんです」「私はこれが成功すると信じているんです」と、熱意をアピールする人がいます。これは絶対やめるべき。この熱意は、「この商品は絶対いいんです」「このサービスはあなたを幸せにしてくれます」という押し売りトークと何ら変わらない、と思うんですね。

そこで重要なのが、熱意ではなく「ストーリー」で語ること。新規事業はわからないこと、不確実なことが多いので、完全な理詰めは必要ありません。最低限の構成で十分です。

  • 市場分析は3C(顧客・競合・自社)の要約で十分
  • 事業の方向性は「誰に・何を・どのように」を軸に簡潔にまとめる
  • 施策は4P(製品・価格・流通・販促)など、一般的なフレームワークで一覧化
  • 損益はおおまかでも数字を置く。エイヤーでOK。

こうした骨格があるだけで、話は“情熱論”から“仮説検証論”へと一気に引き上がります。結果、決裁者もリスクの所在を具体的に議論しやすくなり、稟議が進む確率が高まります。

また、不確実性が高い新規事業で、ベーシックながら、抑えるべきポイントを押さえた「ストーリー」を語れると、これはあなたの評価はうなぎ上りです。私の実体験からもこれは間違いないです!特に損益。これはあなたが「数字に強い」という評価を高めてくれるでしょう!

3Cと損益については、過去に書いたエントリーがありますので、是非こちらも参考になさってください!

あと余談ですが、ビジネスシーンにおいて、「私は信じている」という言葉は使わないようにしましょうね。。恋人や奥様・旦那様に「私はあなたを信じている」というのはもちろんOKですよ。先日も某テレビ局のセクハラ問題で、テレビ局幹部が「私はそのような事実が無いと信じている」と、よく言っていましたが、こういった瞬間、聞いている側からすると「あー事実が無いと言い切れないんだな。証拠がないんだな。憶測なんだな。不安なんだな。神頼みなんだな。」と必ず思います。

「あなたの新規事業は本当にうまくいくの?」と聞かれたら、「はい。私はうまくいくと信じています」は絶対NG。「損益を見て頂きたいです。2年目から黒字化し、3年目以降で確実に稼ぎ、5年目は●●円の営業利益を見込んでいます。これは実現可能と考えています。」こういう説明をしたいですね。少し頑張って準備できれば、あなたもできるはずです!

事業計画書で抑えるポイントについては、あたらめてエントリーを書きたいと思います!

最後に ~「スモールスタート」で皆さんもチャレンジを!~

ビジネスパーソンとしてのキャリアの中で、一度は新規事業に挑戦してみる価値があると思います。失敗には学びが付き物ですから、早ければ早いほど得るものは大きい。だからこそ、初期投資を10百万円以内に抑え、まず動ける形に落とし込むことが極めて重要だと私は考えます。「小さく産んで、大きく育てる」という古典的なフレーズは、いまなお普遍的な真理です。ぜひスモールスタートを前提に企画を設計し、自らの手で一歩を踏み出してみてください!

今回もお読みいただき、ありがとうございました。もし本稿が皆さんのチャレンジに少しでも役立つようでしたら、ぜひSNSでシェアしていただけると嬉しく思います。

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